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deepacid's cultural life blog

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春を告げる町@ユーロスペース仮設の映画館

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春を告げる町@ユーロスペース仮設の映画館

非常事態宣言前に最後に観た映画が「Fukushima 50」だった。そしてオンライン映画館で最初に観賞する作品もまた福島関連、広野町の復興のドキュメンタリー。あっ、まさにこれから観賞しようと言う時に茨城県沖で緊急地震速報。
 巷の映画館はすべて閉館中。レンタルDVDで映画を観ることはあまりないが、ミニシアター救済を兼ねて、「仮設の映画館」で観賞してみることにした。先日もちょっと書いたが、外出自粛でお小遣いの散財がなくなり、お財布に余裕が出てきた。もちろん、今後失業する恐れもあるので、決して無駄遣いしていい訳ではないが、無駄な散財は映画自体より、外出することで外食したりいろいろ寄り道したりで散財する。自宅で観賞する分には観賞料金のみの散財で済む。

 なんか、当時は故郷に戻る人たちを、同情はするが危険だから戻るな、と思っていた。戻ると言うことは、放射能汚染された場所で生きると言う人体実験に自ら飛び込むことだ。だが今度は地球上のどこも、すなわち僕自身も被災地にいる状況になり、ステイホームの中、通勤電車に乗り続ける生活だし、健康ジョギングと称して市川市、江戸川区、葛飾区、三郷市、松戸市を連休中に巡った。つまり自らも実験台に飛び込んでいる。解除されても新天地で生活を続ける人、自宅に戻る人。その分断は今のソーシャルディスダンシングとして今の私たちが共有している。
 映画館で観賞する場合は、映画館と言う非日常的空間で観賞するが、今回は自宅で観賞。日常の延長なのは作品に没頭するために必要だと思っていたが、この作品についてはむしろ日常の延長に災害や復興が生身に感じられ、むしろ不思議な日常との連続性があった。2時間を超える作品なので、トイレ中断できるメリットもある。
 大きく3つのストーリーがパラレルに進む。農家の日常ではお年寄りを、高校の演劇部では若者を、そしてその橋渡しに祭り(の準備)が描かれる。ここで伺いしれるのは、街の復興のための一致団結がいかに難しいかと言うこと。ネット上の分断みたいなのではなく、お年寄り同士も、高校生同士も、意見なんか簡単にはまとまらない。それでも前に進むしかない状況のドキュメンタリー。
 特に高校演劇部の稽古は苛烈だった。プロでもないのになぜ先生はあんな厳しいダメ出しをするのか、最初は気の毒に思った。しかし、復興への覚悟とはそういうものなのだ。顧問の先生自身も答えを持たないまま、演じられた芝居は、手探りならではのシュールさを兼ね備えていながら、ボロ泣きを抑えられなかった。
 祭りも、伝統を重ねて来た祭りには、現代的なエンタメのシステムの下で行われるそれとは全く背景が違うことを見せつけられた。不要不急のイベントにも、実は町民の相当の覚悟がある。そろばん勘定以上の決意が、この映像ではひしひしと伝わってくる。
 非常事態宣言の最中だからこそ、伝わってくるもの、教えられるものがたくさんある。映画館の再開を待たず、今見るべき作品。

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