渋谷でHoly Motorsを観た。つまり、新作登場でユーロスペースは過去作品を一挙上映していた訳だ。その新作を盛岡で観賞。Holy Motorsは2013年の作品、つまりレオスカラックスは10年に一本ベースの寡作な監督。そのどれもが濃密であり、人生で全部作品を観ておくべき監督だと思っている。終電ギリギリのレイトショーも何するものぞ。レイトショーは1300円でお得。
さてロック・オペラの開幕。前半は華々しく始めて見せるが、やはりレオスはシェークスピアのような悲劇を得意とする作家だ。燃え上がるような恋がやがて壊れ、親子愛すらも終末へと向かって行く。
いずれにせよ、レオスは映画監督である以上に、ここではコンポーザーでもあった。「ポーラX」のときはもっとインダストリアルパンク的なアプローチだったが、今はロックとクラシックのクロスオーバーか。
それにしても、今回はなぜ全編英語だったのだろう。以前の「ポンヌフの恋人」や「汚れた血」ではやはりフランス語のセリフにアイデンティティを持っていたが、今のレオスはもはや無国籍を楽しんでいる。
そもそも、娘が最初パペットで、ラストになってこれみよがしに女の子と入れ替わる(相変わらず人を食った芝居だ)。まあだからこそ父娘のオペラセリフがカッコイイわけだが。
ストーリーは性悪男が堕ちぶれる陳腐なラブストーリーだが、レオス節はやっぱり唯一無二なのだ。
見終わったら終電にダッシュだが、余韻は人気のない盛岡の繁華街にもうっすら残る。